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イランの核開発問題とイスラエル [未来世紀ジパング 池上彰の謎多き国イラン]

イランの原子力開発は、1960年代後半に、アメリカや西ドイツ、中国、ロシアの協力を得て始まった。

1995年以降は、ロシアの協力によって、100万キロワット級軽水炉の建設を進めたが、2002年8月、反体制派組織の暴露により、大規模原子力施設が秘密裏に建設されていることが発覚。イランの核問題が国際原子力機関(IAEA)で大きく取り上げられることとなった。

イランが、国際原子力機関IAEAに申告することなく、ウラン濃縮やプルトニウムの分離を繰り返していたことが明らかとなったことから、2003年9月、IAEA理事会は過去の活動の解明、ウラン濃縮活動の停止などを求める決議案を採択した。しかしイランは決議を遵守しなかった。

イランは、イランの核技術開発はあくまでも核兵器不拡散条約(NPT)加盟国の「奪い得ない権利」としての「核の平和利用」のためのものだと主張した。これに対して欧米諸国は「平和利用なら秘密裏に行う必要はない」としてイランによる核技術開発の停止を求め、経済制裁を始める。

核開発問題の発生後、イランはまずイギリス、ドイツ、フランスの3か国との合意に基づき、「信頼醸成のため」にウラン濃縮関連活動を停止した。しかしウラン濃縮の停止から1年半以上を経てイランに突きつけられたのは「核技術開発完全放棄」の要求であった。この要求にイランが反発。ウラン濃縮の前段階にあたるウラン転換作業を、IAEAに申告のうえ再開させる。

イランは核技術開発を続け、これまでに3.5%のみならず「20%未満」のウラン濃縮技術を確立し、濃縮ウランの製造のみならず、「第二の濃縮施設(地下施設)」まで稼働させた。

いったん手にした技術はなくならない。現在イランには、「核技術開発の完全放棄」という要求は突きつけられてはいないのである。

問題は、イスラエルとサウジアラビアの姿勢だ。

イスラエルは、イランが核開発を止めない場合、実力行使によってでもこれを止めるという立場を明確にしている。イスラエルは以前にも、イラクやシリアといったイスラエルに敵対的な国々で建設中の原子炉を、予告なく空爆して破壊している。イランの域内覇権への野心に警戒感を抱き続けるサウジアラビアも、イランの核開発を容認しないと公言している。

>> イランとアメリカ 歴史から読む「愛と憎しみ」の構図

 



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